用語集 目次
命を守るプラスチック製品達
昨年(正確には2019年の下期から)中国の武漢で発生した新型コロナウイルス(Covid-19)によるパンデミックは、世界中の人々を苦しめています。
2021年9月段階で、感染者(検査陽性者)は2億2千万人を超え、死者は450万人を超える未曾有のバイオ災害となっています。犠牲者は大きな戦争に匹敵する人数です。
日本でも感染者数158万人超、死者数1万6千人超となっています。
一方、コロナウイルスの感染を防ぎ人々の命を守る為に、多くのプラスチックやゴム(高分子)製品(もちろん、我らがプラスチック板も!)が活躍していますので、紹介させて頂きます。
- プラスチック板
飛沫感染防止用パーティションとしてオフィスや受付や飲食店に設置されています。
アクリル板と称される事が多いのですが、多くは塩ビの板です。
当協会でも会議の際に設置して、出席者同士の感染を防止しています。
それらの比較は下の表(プラ工連資料より)に示します。 - プラスチックフィルム・シート
目的は上記のプラスチック板と同じです。
商店のレジなどに設置されているのを良く見ます。
塩ビのシートやPETが多く使われているように思われます。 - 不織布マスク
ポリプロピレンの不織布で作られています。
スパンボンド(比較的太い繊維で強い)とメルトブローン(細い繊維で細かい)の複合が多い。
用途はもちろん飛沫感染の防止
2020年感染拡大の当初(2月~5月)、80%程度が中国生産で中国政府が輸出を制限した為、品薄になり皆様は大変苦労されたと思います。
また、各国で中国人が買い占めて中国に送っていた事が報道されています。 - 防護服
不織布や多孔フィルム(プラスチック製)の複合です。
ポリエチレン製やポリプロピレン製です。
お医者様や看護師の方々が感染者をケアする際に使用しています。
防護服も中国生産が多かった為、不足しました。 - フェイスシールド
マスク替わりに飛沫感染防止に用います。
素材はポリエステルやポリカーボネートが多いです。
テレビでタレントが使用しているのを見かけますが、工場でも多く使用されています。 - 防護メガネ
防護メガネはポリカーボネート製が多く使われています。 - 手袋
材質はラテックスやポリエチレンなどです。
接触による感染を防止します。 - 注射器
ワクチン接種や医薬を打つ際に使用します。
ポリプロピレン製です。 - アンプル
ポリエチレン他で製造されています。 - プラスチックボトル
手指洗浄用アルコール等の容器として使用されています。
このボトルの多くが中国で生産されていた為、感染初期に不足し消毒用アルコールが不足しました。 - 点滴用器具(輸液バッグ、チューブ)
重症者のケアに必須な器具です。
ボトルの材料は塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン等です。
チューブは塩ビ製が多い。 - 医薬包装
医薬はプラスチックで包装されています。 - 人口呼吸システム
重症者の命を救う為に必須の装置です。 アメリカでは不足した為トランプ大統領がGMに対して緊急生産を命令しました。
チューブやボディに多くのプラスチックが使用されています。
また、すべての医療機器について共通ではありますが、内部の電子部品はプラスチックが無いと成立しません。 - CT装置
日本ではコロナかどうかを判定する重要な検査方法はPCR検査ではなく、X線CTで肺の映像を診ます。ボディや内部の電子部品にプラスチックが使用されています。
【まとめ】
最近、活動家による異常でヒステリックなプラスチック叩きが欧州を中心に起きており、それに一部の政治家やマスコミや学者が乗る形で日本でも無意味なレジ袋等のプラスチック製品の無償配布禁止や、包装の紙や金属への転換が行われています。
皆さんはこれら環境活動家が、かつて割り箸は環境に良くないと攻撃し日本製の間伐材を活用した割り箸産業が壊滅したのを覚えておられるでしょうか?
それで、コンビニの木製の割り箸が無くなりましたか?
結果的に、それらは中国製などの海外製品に置き換わっただけでした。
結論を言うと、そのような日本でプラスチック製品を叩くアクションは世界のCO2排出量を減らさないばかりか、本来の目的である環境へのプラスチックの廃棄もほとんど減らないという愚策です。
もちろん、プラスチック製品を環境中(野山や河川や海)に廃棄することは許されませんが、日本において特定のプラスチック製品を制限したり禁止したりしても、あまり意味はありません。
それどころか、このコラムでお示ししたように、医療や防疫の分野ではプラスチック製品無しでは成り立たないくらい重要な地位を占めています。
人命を救う為に日々戦っているプラスチック製品をよろしくお願いいたします。
材料関係用語
ポリ塩化ビニル
用語 | 意味/同義語 | 解説 |
---|---|---|
塩ビ ビニル 塩化ビニル ポリ塩化ビニル ポリ塩化ビニール Poly vinyl chloride PVC |
ポリ塩化ビニルあるいは Poly vinyl chlorideの別称 ・Wikipedia (ポリ塩化ビニル) ・塩ビ工業・環境協会 |
俗世間では軟らかいプラスチックを「ビニール」と言うことが多い。 これは、塩化ビニル樹脂はプラスチックの中でも早くから国産化され、雨合羽やカサ、風呂敷などの日用品にも利用されました。このため薄手の透明なシート、イコール「ビニール」という印象が植え付けられたもの。 業界によっては、プラスチックをビニールと言うと先輩から叱責される。 |
ポリカーボネート
用語 | 意味/同義語 | 解説 |
---|---|---|
ポリカーボネート ポリカーボネイト ボリカ ボリカーボネート ポリカーボネイド ポリカーボ ポリカーボネード ポリカーボナート Polycarbonate PC |
ポリカーボネートあるいは、Polycarbonateの別称 ・Wikipedia (ポリカーボネート) ・ものづくり情報サイト「i‐maker news(アイメーカーニュース)」 |
年寄りには、「象が踏んでも壊れない筆箱」の材料と言うと通じる。 耐衝撃性が非常に高いことが特徴の透明樹脂。 その特徴から、スポーツ用サングラス、安全眼鏡、航空機の窓、自動車の前照灯カバー、家電製品等に使用されている。 もちろん、板材としては軽量で割れない「ガラス」として建築分野で幅広く使われている。 また、防弾ガラスにも使用される。 |
製品関係用語
平たいプラスチック製品
用語 | 意味/同義語 | 解説 |
---|---|---|
板 プレート ボード |
3つともほぼ同じ意味 曲がらない平たいもの |
プラスチックの場合、1000μm(1mm)以上のものを板とする場合が多い。 PVC板の規格JIS K6745では1.0mm以上、PC板のJIS K6735では1.5mm以上が規定されている。 |
平たいプラスチック製品
用語 | 意味/同義語 | 解説 |
---|---|---|
シート フィルム |
プラスチックの場合、板より薄い、巻き取れる程度のもので、厚いものをシート・薄いものをフィルム | 厚みで区分する場合、JIS(日本工業規格)の【包装用語】規格によると、フィルムとは「厚さが250μm未満のプラスチックの膜状のもの」、 シートとは「厚さ250μm以上のプラスチックの薄い板状のもの」とされている。一方、日本標準産業分類(総務省)【プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製造業】の定義によれば「シートとは,厚さが0.2mm以上で軟質製のものをいう。」「フィルムとは厚さが0.2mm未満で軟質製のもの及び0.5mm未満で硬質製のものをいう。」とされている。 このように、プラスチックのシートとフィルムには明確な区分は無いが、日本国内では一般的に200μm以下の厚さをフィルム、それ以上の厚さをシートと慣習的に称する事が多い。 |
波板関係
用語 | 意味/同義語 | 解説 |
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波板 なみ板 なみいた ナミイタ 海鼠(なまこ)板 |
ほぼ同じ意味 一定のピッチで波状に曲がっている板 |
主に屋根に使われる。 プラスチック波板は加工性が良好 塩ビ:ハサミで切れる ポリカーボネート:のこぎりで切れる 下図は断面の例 |
トタン トタン板 |
波状に曲がった亜鉛メッキ鋼板のことを言う。(厚さ0.198~2.38mm) | プラスチック波板の先祖にあたる。 トタンとはポルトガル語の亜鉛 (tutanaga)からとの説がある。 |
折板 せっぱん おりいた |
一般的には鋼板を曲げたものを言うが、右図のようなものをプラスチック折板と言う事もある。 | 下図は断面の例 |